<相続した農地についての基礎知識 第9回>相続放棄をすると農地はどうなりますか?
相続放棄をすると、初めから相続人ではなかったものとみなされるため、農地を相続することはありません。
ただし、相続放棄をした時点で、その農地を現に占有している場合には、一定の保存義務を負うことがあります。
今回は、相続放棄と農地の関係について見ていきます。
相続放棄とは?
相続放棄とは、亡くなった方の預貯金や不動産などの財産だけでなく、借金などの負担も含めて、一切の相続財産を引き継がないための手続きです。
相続放棄をする場合は、原則として、自己のために相続が始まったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所へ申述する必要があります。
相続放棄をすると農地は相続しません
家庭裁判所で相続放棄が受理されると、初めから相続人ではなかったものとみなされます。そのため、その人は農地の所有者にはならず、相続登記や農業委員会への相続の届出を行う必要もありません。ただし、相続放棄は農地だけを対象にすることはできません。
農地は放棄する一方で、預貯金や自宅だけを相続するという選択はできず、すべての相続財産をまとめて放棄することになります。
農地の保存義務を負う場合があります
相続放棄をした時点で、その農地を現に占有している人は、農地を相続人や相続財産清算人などに引き渡すまで、自己の財産と同じ注意をもって保存する義務を負います。「現に占有している」とは、単に農地が自宅の近くにあるということではなく、その農地を事実上管理・支配している状態をいいます。
例えば、相続開始後に農地を自ら使用し、継続して管理している場合などは、個別の状況によって現に占有していると判断される可能性があります。
一方、農地を一度も管理しておらず、事実上支配していない場合まで、当然に保存義務を負うわけではありません。
相続放棄をすると次の相続人に移ります
先順位の相続人が相続放棄をすると、後順位の親族が相続人になることがあります。例えば、亡くなった方の子が全員相続放棄をすると、亡くなった方の父母などが相続人となり、父母などもいない場合や相続放棄をした場合は、兄弟姉妹が相続人となることがあります。相続人となる可能性がある親族には、相続放棄をしたことを伝えておくことも大切です。
判断に迷ったら早めに相談しましょう
相続放棄は、農地だけでなく、預貯金、不動産、借金など、すべての相続財産に影響する手続きです。また、農地を現に占有しているかどうかは、実際の使用状況や管理状況によって判断されます。相続放棄を検討している場合は、3か月の期限があるため、早めに弁護士や司法書士などへ相談することをおすすめします。次回のブログはコチラ→<相続した農地についての基礎知識 第10回> 相続した農地の固定資産税はどうなりますか?
2026年07月29日 21:17
