<農家住宅(市街化調整区域)の基礎知識②>農家住宅は誰でも建てられるの?
前回のブログはコチラ→<農家住宅(市街化調整区域)の基礎知識①>農家住宅とは?
では今回は、「農家住宅って、誰なら建てられるの?」という話です。
「農家なんだから、田んぼを持っている人でしょう?」と思いますよね。
ところが、実際はそれだけではありません。
田んぼを持っていれば農家?
たとえば、親から田んぼを相続した。登記簿を見ると、自分名義の田んぼがある。
そこで、「自分は農地を持っているから、農家住宅を建てられるのでは?」と思うかもしれません。
でも、農地を持っているだけで、農家住宅を建てられるとは限りません。
大切なのは、実際に農業を営んでいるのかということです。
そもそもの根拠は都市計画法第29条
農家住宅について、まず押さえておきたいのが、都市計画法第29条第1項第2号です。市街化調整区域などで行われる開発行為のうち、農林漁業を営むために必要な一定の建築物や、農林漁業を営む人が住むための建築物については、開発許可を受けなくてもよいとされています。つまり農家住宅は、「農家住宅として開発許可を取って建てる住宅」というより、一定の条件を満たすことで、「都市計画法上の開発許可が不要となる住宅」という考え方になります。
【根拠】
都市計画法第29条第1項第2号
宮城県では具体的な基準があります
では、「農業を営む人って、具体的にどんな人?」となりますよね。宮城県の「開発許可制度便覧」では、農林漁業用住宅について具体的な基準が定められています。
農業の場合、世帯構成員の1人以上が、次のいずれかに該当することとされています。
① 1,000㎡以上の農地を耕作する権原があり、その業務に従事している人
② 自ら生産する農畜産物の販売等による農業所得が年間15万円以上ある人
③ 農地所有適格法人の構成員で、年間60日以上その業務に従事している人
数字が出てくると、少しイメージしやすくなりますね。
【根拠】
宮城県「開発許可制度便覧 第4章」4-2-4「農林漁業用住宅」
1,000㎡持っていれば大丈夫?
ここは間違えやすいところです。基準は、「1,000㎡以上の農地を持っている人」ではありません。
「1,000㎡以上の農地を耕作する権原があり、その業務に従事している人」です。
たとえば、
2,000㎡の田んぼを相続した。
でも、全部ほかの農家に貸している。
自分では農業をしていない。
この場合、「2,000㎡持っているから大丈夫!」とはなりません。
反対に、自分が所有している農地でなくても、適法に借りて農業を営んでいる場合もあります。
つまり、「何㎡持っている?」だけではなく、「実際に農業をしている?」というところが大切です。
家庭菜園でもいいの?
では、「畑で野菜を作っているから大丈夫?」となりますよね。これについても宮城県の基準があります。
農林漁業には、季節的なものも含まれますが、家庭菜園などの生業ではないものは含まれないとされています。
「家族で食べる野菜を作っています」「趣味で畑をやっています」というだけで、農家住宅の対象になるわけではありません。
【根拠】
宮城県「開発許可制度便覧 第4章」4-2-4「農林漁業用住宅」
会社員をしながら農業をしている場合は?
「昼間は会社員。でも田んぼもやっています」という方もいますよね。では、専業農家でなければダメなのでしょうか。
宮城県の基準では、兼業者も含まれるとされています。
ですから、「農業だけで生活していなければ農家住宅は建てられない」というわけではありません。
一方で、臨時的に農作業を手伝っているだけの人などは含まれないとされています。
ここでも、実際に農業を営んでいるのかがポイントになります。
【根拠】
宮城県「開発許可制度便覧 第4章」4-2-4「農林漁業用住宅」
家を建てる本人だけを見るの?
これも少し意外かもしれません。宮城県の基準では、世帯構成員の1人以上が基準に該当することとされています。
ですから、「家を建てる名義人だけが農業をしているか」という単純な見方ではありません。
・誰と一緒に住むのか
・その世帯の中で誰が農業を営んでいるのか
こうしたことも確認していくことになります。
農家の条件を満たせば、好きな場所に建てられる?
ここまで読んで、「うちは条件に当てはまりそうだ!」となったとしても、まだ終わりではありません。次に確認するのが、「どこに建てるの?」ということです。
宮城県では、農業の場合、主たる事業場が市街化調整区域内にあることなど、農家住宅を建てる場所についても基準が設けられています。
また、住宅の敷地は原則として、その主たる事業場と同じ市町村または隣接する市町村にあることとされています。
つまり、人の条件を満たしたから、調整区域ならどこでも建てられるというわけではありません。
【根拠】
宮城県「開発許可制度便覧 第4章」4-2-4「農林漁業用住宅」
仙台市の場合は?
仙台市も、市街化調整区域では建築物の新築などについて原則として許可が必要としています。その一方で、例外として、農業用住宅や農業用倉庫を建築する場合(都市計画法第29条関係)を、許可が不要なものとして案内しています。
仙台市には独自の開発許可制度の手引きがありますので、仙台市内で農家住宅を計画する場合には、宮城県の資料だけで判断せず、仙台市の基準を確認する必要があります。
【根拠】
仙台市「市街化調整区域内の建築行為全般について」
仙台市「開発行為・宅地造成等工事許可申請の手引き 第4章」
農家なら田んぼにそのまま家を建てられる?
最後に、もう一つ「農家住宅を建てられる人なら、自分の田んぼにそのまま家を建てていいの?」と思うかもしれません。これも別の話です。田や畑を住宅の敷地として利用する場合には、農地法上の農地転用についても確認する必要があります。
さらに、農振農用地に入っている場合などは、別の手続きが問題になることもあります。
つまり、「都市計画法上、農家住宅だから開発許可が不要」だからといって、「ほかの手続きも全部不要」という意味ではありません。
ここは大切なところです。
まず「人」、次に「土地」
農家住宅を建てたい場合、最初に確認するのは、「農家住宅の対象となる人なのか?」ということです。そして次に、「予定している土地に農家住宅を建てられるのか?」を確認します。
簡単にいうと、人の条件 → 土地の条件です。
「農地を持っているから大丈夫」「農家だから大丈夫」ではありません。
一つずつ条件を確認していく必要があります。
次回のブログはコチラ→<農家住宅(市街化調整区域)の基礎知識③>農家住宅を建てたい!まず何を調べるの?
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2026年08月10日 21:40
