農地転用(市街化調整区域)の概要
市街化調整区域で建築可能な建物について
市街化調整区域の特徴
市街化調整区域とは、都市計画を抑制すべき地域のことで、土地開発や施設の整備が行われず、「建物の建築が認められていない地域」です。
ただし、建築可能な建物もあります。
では、市街化調整区域ではどのような建物であれば建築可能なのでしょうか。
都市計画法34条第1号
都市計画法34条には、市街化調整区域で建築が可能な建物の種類が列挙されています。
なかでも、下記の34条第1号は・・・
(都市計画法34条第1号では)
「当該開発区域の周辺の地域において居住している者の利用に供する政令で定める①公益上必要な建築物又はこれらの者の②日常生活のため必要な物品の販売、加工若しくは修理その他の業務を営む店舗、事業場その他これらに類する建築物」 |
と非常に広い範囲の建物が定められています。
これではちょっとわかりずらいので、もっと詳しく見ていきましょう。
(①公益上必要な建築物とは)
大雑把に分けると
・小中学校や幼稚園などの学校
・保育園や介護施設などの社会福祉施設
・診療所や助産所といった建築物です。 |
市街化調整区域の環境を損ねないために、敷地面積には制限が設けられていることがあります。
(②日常生活のために必要な物品の販売、加工若しくは修理その他の業務を営む店舗、事業所とは)
小売業(小さな商店やコンビニエンスストア、ドラックストアなど)、飲食店、サービス業、学習塾といった、日常生活に必要な地域密着型の小規模店舗を指します。
基本的に自営を想定していますので、業を営む者が土地を借りる前提で申請することはできますが、貸店舗を建築するための申請はできません。
また、敷地面積や建物の延床面積と高さに制限が設けられていますので、大規模なものは建築ができません。
市街化調整区域に一般住宅は建てられるの❓
都市計画法34条1号の建てられる建物(店舗等)を見てきましたが、それでは住宅は建てられるのでしょか❓
基本的には市街化調整区域の土地を新たに購入して一般住宅は建てられません。
ただし、一定の条件を満たした場合は住宅を建てることができます。
それでは、どのような場合に住宅が建てられるのでしょうか❓
①農家住宅の場合
農家の人は市街化調整区域に農地を持っているケースが多いため、その近くに自宅を構
えることができないと不便を強いられてしまいます。
そのため特例として住宅の建築が可能となっています。
イメージ的には農家を営む両親のあとを継ぐお子さんが住宅を建てる場合等
ただし、農家としての実態など細かく審査されます。
建築可能な敷地の面積は1000㎡まで。
②分家住宅の場合
線引き前から引き続き現在に至るまで生活の本拠を構えている本家から世帯が分かれて、分家として世帯が新たに必要とする住宅のことを言います。
簡単に説明すると・・・
市街化調整区域に土地(農地)をもっている両親の子どもや孫がその土地を取得して住宅を建てる場合です。イメージ的には親元の近くで暮らすという感じです。
(例えば)
Aさん(63歳)世帯(「本家」と呼びます。)は昭和の初め頃からこの地域で農業を営んでいます。Aさん所有している農地は、昭和43年~昭和46年頃に市街化調整区域に指定される前から先祖代々Aさんが世帯が所有していた土地です。
Aさんの子どもでもあるBさん(33歳)は、Cさん(30歳)と結婚し、当初はアパートに住んでいましたが、子どもが生まれたこともあり、住宅が必要になりました。
このケースでBさんの世帯を「分家」と呼びます。
Bさんは住宅建築可能な土地を探しましたが、適当な土地が見つかりません。
そこで、Aさんからその所有する市街化調整区域の農地を譲ってもらい、新たに住宅を建てることにしました。この新しく建てることになる住宅を「分家住宅」といいます。 |
建築可能な敷地の面積は500㎡まで。
※分家住宅の許可を出すのは、市町村によって、名称が異なりますが、役所の土木課や県の土木事務所等に相談することになります。
③自己用住宅
この自己用住宅は本家や分家の有無は関係なく、市街化調整区域に所有している農地に自己(所有者)が住宅を建築するものです。
④線引き前で宅地での建築(既存宅地)
市街化調整区域の線引きより前から宅地であった土地については建築や再建築が可能でしたが、「既存宅地制度」は平成12年に廃止され、経過措置が平成18年に終了しています。
当時既存宅地であると確認された宅地であっても建築や再建築ができなくなってしまっているので注意が必要です。
⑤その他
その他の基準は、地域によって様々で、その実情に合わせたものが並んでいます。
よくあるのが
既存の建築物の敷地をやむなく拡張する場合などです。