<農地を譲りたい・引き継ぎたい方の基礎知識 第7回> 農地を引き継ぐ人には条件があるの?
「農地は誰にでも譲ることができるの?」「知人に譲りたいけれど大丈夫?」「子どもが農業をしていなくても引き継げるの?」このようなご相談をいただくことがあります。
農地は一般の土地とは異なり、誰にでも自由に譲ることができるわけではありません。
農地法第3条の主な許可要件
農地法第3条の許可を受けるためには、原則として次の要件をすべて満たす必要があります。
① すべての農地を効率的に利用すること今回引き継ぐ農地だけでなく、すでに所有している農地や借りている農地も含めて、すべての農地を効率的に耕作することが必要です。
農業委員会では、主に次のような点が確認されます。
・所有または借りている農地が適切に耕作・管理されているか
・農作業を行うための労働力があるか
・必要な農機具を用意できるか
・農地まで通って耕作できるか
・これまでの農業経験や今後の営農計画に無理がないか
すでに所有している農地が耕作されず、荒れたままになっている場合は、その状況について確認を求められることがあります。
「新しく取得する農地だけ耕作すればよい」ということではありません。
② 法人が農地を所有する場合は、農地所有適格法人であること(法人の場合)
会社などの法人が農地の所有権を取得する場合は、原則として「農地所有適格法人」の要件を満たす必要があります。
農地所有適格法人になるためには、法人の形態、事業内容、議決権、役員の構成などについて、農地法で定められた要件があります。
なお、法人が農地を借りる場合は、農地を所有する場合とは異なる取扱いになることがあります。
③ 申請者本人または世帯員などが農作業に常時従事すること
農地を引き継ぐ方、本人または世帯員などが、農作業に継続して従事することが必要です。
単に農地の名義だけを取得し、実際の農作業をすべて他人に任せることを前提としている場合は、許可を受けられないことがあります。
農業委員会では、
・誰が農作業を行うのか
・どのくらいの日数、農作業に従事するのか
・どのような作物を栽培するのか
・農繁期に必要な作業を行えるのか
などが確認されます。
常時従事と認められる目安は、原則として年間150日以上とされています。ただし、作物の種類や農地の面積などから、150日未満でも必要な農作業を行えると判断される場合があります。
④ 周辺の農地利用に支障を与えないこと
農地を取得した後の利用方法が、周辺の農業や地域の農地利用に悪影響を与えないことも必要です。
例えば、
・周辺と異なる方法で水を使用し、他の農地に影響を与える
・農薬の使用方法によって周辺の作物に影響を与える
・農地のまとまりを分断する
・地域で行われている共同作業に支障を与える
・周辺の農作業の効率を低下させる
といったおそれがないか確認されます。
農地は一つの土地だけで成り立っているのではなく、水路や農道、共同作業などを通じて周辺の農地とつながっています。
そのため、自分の農地だけでなく、地域の営農環境との調和も重要になります。
農地の面積が小さくても申請できます
以前は、農地を取得した後の耕作面積が一定以上でなければならない「下限面積要件」がありました。この要件は、令和5年4月1日に廃止されています。そのため、農地の面積が小さいという理由だけで、農地法第3条の許可を受けられないわけではありません。
ただし、面積にかかわらず、実際に農地を耕作できるか、営農計画に無理がないかなどは確認されます。
親子や親族であっても条件は同じです
「親から子へ譲るので問題ない」「親族だから簡単に許可される」と思われることがあります。しかし、親子や兄弟などの親族間であっても、農地法第3条の許可要件を満たす必要があります。大切なのは親族関係ではなく、農地を引き継いだ後に適切な耕作と管理を続けられるかどうかです。契約する前に確認しましょう
農地を譲る相手が決まっていても、その方が許可要件を満たしていなければ、予定どおりに手続きを進められないことがあります。特に、これまで農業をしたことがない方が農地を引き継ぐ場合は、営農計画、農機具、労働力、農地までの距離などを事前に整理しておくことが大切です。
「この人に農地を譲ることができるのか」と迷ったときは、契約を結ぶ前に農業委員会へ確認しましょう。
次回のブログはコチラ→
ご相談はコチラ→農地を譲りたい・引き継ぎたい
