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農地所有適格法人の要件

農地所有適格法人の4つの要件

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農地所有適格法人になるためには以下の要件をすべて満たさなければなりません。

①法人の組織形態要件

農地所有適格法人になれるのは、次のいずれかの形態になります。
①農事組合法人(2号法人)
(1号法人は農業生産を行わないため、農地所有適格法人にはなれません。)
②株式会社(非公開会社)
③持分会社(合同会社、合名会社、合資会社)

上記以外の法人、例えば、上場株式会社、NPO法人、一般社団法人、宗教法人、学校法人等は農地所有適格法人になることはできません。

農地法第2条第3項
この法律で「農地所有適格法人」とは、農事組合法人、株式会社(公開会社でないものに限る)又は持分会社で、次に掲げる要件をの満たしているものをいう。
(会社法人(株式会社・合同会社)と農事組合法人の比較)
   株式会社 合同会社 農事組合法人
根拠法 会社法 会社法 農業協同組合法
事業 事業一般 事業一般 ①農業に係る共同利用施設の設置
②農業経営①および②の付帯事業
構成員 制限なし
1人以上
制限なし
1人以上
農民等
農民3人以上(上限なし)
役員 ①取締役1人以上(置)
※ただし、公開の場合
3人以上
②監査役(任意)
業務執行社員1人以上 ①理事1人以上(必置)
②監事(任意)
資本金 制限なし 制限なし 制限なし
設立時登録免 資本金の額の7/1000
(最低15万円)
資本金の額7/1000
(最低6万円)
非課税
組織変更 ①合同会社へ変更可
②農事組合法人への変更は不可
①株式会社へ変更可
②農事組合法人への変更は不可
①株式会社、一般社団法人に変更可
②合同会社へ直接変更不可
※構成員について(株式会社・合同会社)農地所有適格法人となる場合は、農地法の要件を満たす必要があります。
 
②事業要件

その法人たる事業が「農業とその関連する事業」であること。

①主たる事業
主たる事業であるか否かの判断は、直近3カ年における農業(関連事業を含む)の売上高が、法人の事業全体の過半数を占めているかどうかで判断されます。
また、農業経営の実績がなく、これから新規に農地所有適格法人の要件を備えようとする場合は、今後3カ年の事業計画に基づき判断されます。

②農業関連事業
主たる事業の農業には「農業」だけでなく「関連事業」も含まれます。
したがって、農地所有適格法人の要件を満たすことを考えたとき、どのような事業が関連事業に含まれるのかは重要になってきます。

③構成員要件

農地所有適格法人の構成員となることができる者に関する要件のこと。
(構成員とは)
株式会社においては株主、持分会社においては社員(=出資者)、農事組合法人においては組合員のことで会社から雇用されているだけのいわゆる従業員は構成員には該当しません。

この構成員が農業従事者であり総議決権の過半数が必要になります。

農業従事者とはいずれかの者を言います。
①法人の農業に常時従事する個人
農業に常時従事しているかどうかの判断は、原則150日以上従事していることとされ新規の場合には、これから先の事業計画等により判断がなされます。
②農地の権利提供者
法人に農地を貸したり、売ったりする者のことです。つまり、農地の貸主や売主(農地の地主)のことです。
③農作業委託農家
法人に農作業を委託する個人(農家)のことです。
④農地中間管理機構又は農地利用集積円滑化団体を通じた法人に農地を貸し付けている個人
⑤地方公共団体、農地中間管理機構、農業協同組合、農業協同組合連合会

上記のような農業関係者の構成員ではなく農業関係者以外の構成員については保有できる議決権に制限があり、原則として総議決権の2分の1未満までとされています。
平成28年法改正により議決権の制限は4分の1以下から2分の1未満に緩和されました。

④役員要件

農地所有適格法人の経営を行う役員に関する要件のことです。

役員または構成員の過半が農業(販売・加工などを含む)の常時従業者(原則150日以上)であること、さらに役員・構成員又は使用人のうち1人以上が農作業に従事(年間60日以上)することです。

①農作業
ここでいう農作業とは、田畑などの農場で行う農作業労務のことで、あくまでも直接的な作業のことであり、記帳事務や集金などの間接業務は含まれません。
②使用人
その法人の使用人であって、その法人の行う農業に関する権限及び責任を有する者とされています。いわゆる農場長が想定されています。
③代表者
その法人の代表権を持つ者は農業を営む地域に居住し、農業に常時従事することが望まれ、兼務者や兼業者は常時従事者とは認められない場合があるとされます。

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